デイサービスの送迎は、利用者が安全に施設まで往復できるようサポートする大切な業務です。また、送迎だけでなく家族とのコミュニケーションや利用者の車からの乗り降りのサポートなどさまざまな業務があります。
2024年介護報酬改定でデイサービスの送迎に関する内容が改訂されたため、送迎時の細かいルールに注意しなければいけません。
この記事では、デイサービスの送迎範囲と条件や必要な資格についてわかりやすく解説します。
目次
デイサービスの送迎業務内容は?

デイサービスの送迎業務は、利用者の送迎だけではありません。利用者を安全に送迎するため、多くの業務が含まれています。特に、送迎時には家族と顔を合わせるため、家族との信頼関係を保つためにも適切なコミュニケーションが必要です。
デイサービスの送迎には、以下のような業務が含まれています。
- 福祉車両の運転
- 走行記録の作成
- 利用者の乗降介助
- 緊急時の連絡対応
- 福祉車両の清掃や管理
- 送迎ルートの立案と決定
- 利用者の家族とのコミュニケーション
デイサービスの送迎は必須なのか?
デイサービスの送迎は、必須ではありません。しかし、多くの施設が送迎サービスを提供しています。
デイサービスが送迎を行わない場合、送迎減算が発生し、片道47単位、往復94単位を介護報酬から引かれてしまいます。
送迎減算が引かれると事業所の報酬も減ってしまうため、送迎サービスを提供した方がいいと考える事業所は多いです。
デイサービス職員が送迎する際のポイント

デイサービスの職員が送迎する際には、福祉車両の操作を把握することや身だしなみに気を配ることが重要です。
ここでは、デイサービス職員が送迎する際のポイントについて解説します。
身だしなみに気をつける
利用者を送迎する際には、清潔感ある服装や髪型で行くことを心がけましょう。送迎に来た職員に清潔感がなく、だらしない格好をしていた場合、事業所への印象が悪くなり、不信感を抱く原因になります。
送迎する前に、身だしなみのチェックをしてから出発するように心がけましょう。
福祉車両の操作を把握する
デイサービスにある送迎車両の多くは福祉車両です。福祉車両は、通常の車両と違い、車椅子の利用者を安全に乗せるためのリフト操作が必要になります。安全に利用者を乗車させるためにも、機械の操作方法を把握しておかなければなりません。
操作に慣れないうちは何度も触れて、しっかり把握することが重要です。
計画的に送迎ルートを考える
複数の利用者を送迎するため、送迎中に行ったり来たりしないように、効率のよい送迎ルートをあらかじめ考えておきましょう。計画的にルートを考えておかないと、余計に時間がかかることもあります。
特に、体力が低下している利用者を乗せている場合は、できる限り送迎時の負担を軽減するために、効率よく送迎ルートを回ることが大切です。利用者の健康を守るためにも、計画的にルートを考えるようにしましょう。
家族とのコミュニケーションを大切にする
利用者の家族との信頼関係を築くためにも、送迎時のコミュニケーションは重要です。利用者の状況やご家族の要望などのコミュニケーションを大切にすることで、家族との信頼関係につながります。
送迎する際には、挨拶だけでなくコミュニケーションも大切にするよう心がけましょう。
デイサービス職員が送迎する際の注意点

デイサービス職員が送迎する際には、送迎記録を忘れずにつけることや、送迎業務範囲を理解することなどが重要です。
ここでは、デイサービス職員が送迎する際の注意点について解説します。
送迎業務の範囲を正しく理解する
送迎は、原則施設から自宅までです。しかし、場合によっては通院している病院まで送迎するケースも稀にあります。
他にも、利用者の安全を確保するための車からの乗り降りのサポートが必要な場面もあるでしょう。もし、家族が送迎車の前まで来れない際には、玄関まで迎えに行く場合もあります。
送迎業務は、ただ送迎するだけでなく、入居者の安全を守るため臨機応変に対応することが必要になってくるため、各職員が送迎業務の範囲を正しく理解できるように指導しておきましょう。
事業所ごとに送迎する時間と距離を計算する
デイサービスの送迎範囲は施設ごとに異なります。しかし、送迎範囲の区間は決められており、基本的には近隣エリアの利用者が中心です。
送迎時間が長くなりすぎないように、送迎時間と距離をあらかじめ計算しておきましょう。
必ず送迎記録をつける
送迎記録は、必ず残しておかなければいけません。記録の内容には、送迎時の利用者の状況や経路、時間などを正確に記録します。
送迎した際には、忘れずに送迎記録をつけることが重要です。
送迎業務に第二種免許は不要
送迎業務は、普通自動車第一種免許のみで実施できます。
デイサービスの送迎の場合、商業運送ではなく「自家輸送」として扱われるため、第二種免許は不要です。
これは、厚生労働省と国土交通省の間で定められた道路運送法に基づいており、平成18年に改訂された道路運送法第40号で正式に規定されています。そのため、送迎車両は通常の白ナンバーを使用し、バスなどでない限り特別な免許を取得する必要はありません。
2024年介護報酬改定で他施設利用者と同乗可能に

2024年の介護報酬改定により、デイサービスの送迎において、他施設の利用者と同乗することが可能になりました。
この改定により、送迎にかかる時間や人員不足の解消やコスト削減につながります。
特に、デイサービス事業所が複数の拠点や系列施設を持っている場合、利用者の送迎業務をより柔軟に運営できます。
デイサービスの送迎は家族と信頼関係を築く重要な業務
デイサービスの送迎業務は、利用者本人だけでなく、家族とも接する場面が多いため、信頼関係を構築できる貴重な機会です。
家族との円滑なコミュニケーションを取れることは、利用者が安心してデイサービスを利用できる環境づくりにもつながります。
送迎する際に得られる情報を元に、家族にも情報共有をしつつ、コミュニケーションを大切にしていくことも送迎業務の中で重要なひとつです。